6/12『絶対毎日スエイ日記』出版記念トークライブ



『絶対毎日スエイ日記』出版記念
トークライブ+ペーソス・ライブ

シネマアートン下北沢 2004年6月11日(金)21時〜
聞き手:上野晶子(アートン)


これだけの期間があると
結構色々起きるんですよ。
それが物語になっていくんで。

今日、来てくださってる皆さん、『絶対毎日スエイ日記』を買っていただいてありがとうございます。なかなか分厚いので、まだ全部読んでいない方もいらっしゃると思いますが。本はやっとできた感じですけれども。

スエイ 結構長かったですね。ちょうどですね、2000年の4月から書き始めたんですけれども、今年の4月に出たんで、書き始めた月と同じに出たんでよかったなと。

書き始めたのがちょうど、2000年の4月11日で、それから丸々3年なんですけれども、かなり分厚い……。

スエイ はい。出来てびっくりしましたね。心配だったのはね、こういう本になると定価がですね、白夜書房でやると3,600円くらいになるんですよね。それが結構心配だったんですけど2,000円台で収まったんで良かったな、と。

全911ページなんですけれども、約65万字。

スエイ 65万字というとピンとこないですけれど、400字の原稿用紙で言うと千六百枚くらいかな? これだけの期間があると結構色々起きるんですよ。それが物語になっていくんです。そのときはそんな風には思ってないんですけど、敬愛していた方がガンになってしまって、それから入院して、亡くなるとかね。それがまあ、3年の期間の中に起こるというか。

やはり分厚いっていうことで本屋さんで目立っているみたいなんですけれども……。

スエイ 1冊売れると物凄い売れた感じがするんですよ(笑)。皆さん、見てますかね? amazon.comっていう本の通販サイトなんですけどね、売り上げランキングが出るんですよ。アレを見だすとね、毎日、「今日は3千何百位だ」とか「あれっ、今日は1千何百位だ」とか、なんかドキドキしちゃうんですよ。

著者の心臓に悪いですよね。たまに順位が上がってると、スエイさんが「何があったんだろう」って。

スエイ 何が原因だろうって。まぁ、自分が編集者っていうのもあって、何で買うのかなっていうのも気になるし、興味があるんですけどね。

 

ベランダの植物に水をやってる写真で
チンチンがはみ出てるんですよね、
ガウンから

この本を作っている最中に、「写真を入れよう」ということになってですね、写真家の奥様(神蔵美子さん)の作品が約170収録されているということなんですが、写真は奥様が選んで?

スエイ いや一緒に選んだんですね。最初はまぁ、美子ちゃんが選んで、こうスタジオにバァーっと並べてたんですけど。その中から記念写真的なものは排除して、雰囲気のある写真とか、カッコ悪い写真とかを選んで……という感じですけどね。

最初のほうは、スエイさんの裸の写真とか、スエイさんばっかりのアルバムみたくなっているんですけど。

スエイ なんかね、自分の写真ばっかりだとみっともないというかね……。実はね、この中に入れられなかった写真があって、それは凄く良かったんですけど。どんな写真だったかって言いますと、夜中に風呂上りでですね、ガウンみたいなのを着てるんですけども、ベランダの植物に水をやってる写真でチンチンがはみ出てるんですよね、ガウンから。それが凄い情けなーい感じで良かったんですけど、「修正しないと、この写真は使えない」って。修正しちゃうと面白くないという感じで。露出狂じゃないんですけど、その写真は修正しないほうがいいかな、と。

観客 はみ出るのが羨ましいな!

スエイ 違う違う。ガウンがちょっとはだけてる感じで。はみ出るほどのもんじゃないです。

一同 (爆笑)

スエイ 情けなく、チラっとね。

日記の中では、「美子ちゃんが出てこない日はない」というくらいなんですけど。奥さんのことを直接知らなくても、美子ちゃんっていうキャラクターというか、スエイさんと美子ちゃんの関係が面白いです。南伸坊さんが書いてくださってましたけど、スエイさんの日記を読んでそれが挨拶になるというか。「今日、スエイさん喧嘩してたね」「映画見に行ってたね」というのが、読んでる人たちの中では挨拶になる、ということが起きていますが。

スエイ だいたい、(夫婦)喧嘩をするとね、みんな喜ぶんですよ。

一同 (爆笑)

スエイ 僕もね、他人の日記をインターネットで見るんですけど、「最近仲悪い」とか書いてあると、つい次の日も見ちゃうんですね。「次、どうなるか」みたいなね。

そういう夫婦のやりとりが見られるんで、それが仲直りした瞬間に、読んでる人がジーンとしたり……。

スエイ 本当はもっと壮絶な喧嘩があったりするんですけどね。あんまりそういうの書くと、「誰かに言いつけてる」みたいになるんで。

 

自分で何か書いたりしてても、
自分の中で完結しちゃってて。
人に見せないとダメなんですよね、何でも

そもそも、日記を書き始めたきっかけというのは?

スエイ きっかけはね、「読売新聞」の赤瀬川原平さんの連載を見だして。日記風の小説なんですけど、割とリアルタイムで赤瀬川さんの家で起こったこととか、犬がどうしたとか、奥さんと喧嘩しただとか、そういうことが続いたり続かなかったり……という小説だったんですけど、凄くそれが面白くて「自分でもそういうのを書いてみたい」っていうのがあって。あとはそのとき、モヤモヤモヤモヤ「何かをしなきゃいけないけど、小説も書けないし、絵も描けないし」ってことで、じゃあ日記でも書こうということで始めたんですけど。

前書きに、「カメラをもって近所をうろうろ泣きながら歩いた」っていうのがありましたけど、やっぱり日記を書いたことによって「何か救われた」って、スエイさんがおっしゃってましたけど。

スエイ 「何かやることができた」って感じでしたよね。ちょっとウツウツしていた状況だったんですけども、自分で何か書いたりしてても、自分の中で完結しちゃってて。人に見せないとだめなんですよね、何でも。日記も書いてたんですけど、だいたい1ヶ月や2ヶ月くらいで飽きちゃうんですよ。つまんなくなっちゃって。でも、「人に読んでもらってるな」って思うと、続けられるというか、またそれが自分の「窓」という感じがしましたけど。「外とつながる『窓』ができた」みたいな。

読者の方から励ましのメールをかなりいただいていて、その中から3人の方の素敵な言葉を引用させていただいたんですが。「毎日、何かを書いている人がいる」ってことを確認するってことで、幸せだとか、救われるという。

スエイ そう。だから、うまく言えないけど、何を書いてるかってことじゃなくて、続けるってことですよね。

スエイさんは白夜書房の取締役ということなんですけども、お仕事のことはあまり書いていないですよね。

スエイ 仕事のことは意外と忘れるんですよね。でね、日記はだいたいその日の夜か次の日の朝に書くんですけどね、朝になって、「昨日何をやったか」って思うと、仕事のことはあまり覚えてないんですね。いい加減に仕事をやってるわけじゃないんですけども、思い出すのは、街で知らない人に声かけられたこととか、「切羽詰まった男の人が、女の人をラブホテルに連れ込もうとしてた」とか、そういうことを思い出すんで。頭に残っていることを書くようにしてるんですけど。

 

奥さんからいつもイヤなことを言われて、
子供はグレてる、と。
そういう方に読んでほしいな、と

家事を凄くされるんですよね。

スエイ はい、家事を。洗濯物のたたみ方とかね。たたみ始めるとけっこうハマるんですよ。「パンツをどうやってたたんだらいいのか」っていうのが悩みだったんですけどね。女の人に聞いたら、左右を折って真ん中をきゅっと巻き込むっていうかね、そういう風にするとキレイになる、と聞いて、今はそういう風にやってるんですけど。男の人ってあんまり洗濯物をたたむってことを重要視してないと思うんですよ。だから、そういうことにこだわろうと思ったり。まぁ、そういうことって楽しいんですけど。おざなりにしちゃいけないと思ってます。

そういう、なんでもないこととか、日々することを書きたかったっていう……。

スエイ そうそう、なるべく頭に残っていることを書いてると、そういうことになっちゃう。自分がなんかウツウツしてたんで、最初のころはダラダラダラダラどうでもいいこと書いたりしてるんですけどね。

物凄く短いときもありますよね。

スエイ 時間かないときとか。酔っ払った日とか。

本が出て、周りの反響とかは?

スエイ 読者からメールたまにいただきますね。凄く嬉しいんですけど。あとは、取材が結構ありましたよね。あと、売れ行きが気になりだしました。

渋谷の書店で買った人を見たんですよね?

スエイ 自分の本が売れる瞬間を1回だけ見たことがあるんですけどね。男の人だったですけど、大事そうに両手で持ってレジに行くのを。思わず顔を背けましたけど。

スエイさんは、50歳を過ぎて、凄くウツウツした気持ちになったとのことですが、そういう人に読んでいただきたいんですか?

スエイ そうですね。誰でも読んでほしいんですけど、僕くらいの男性ですね。リストラにあったりして、そうなると奥さんと仲が良いわけないですから、奥さんからいつもイヤなことを言われて、当然子供はグレていて、と。そういう方に読んでほしいな、と。

「男は男らしくいなければいけないんだ」というのは結構重たいな、と。

スエイ 僕はもう、女になりたいわけですよ。本当に僕はそういう風に思いますね。男はしんどいですね。男として生きるとしんどいですね。ヤメちゃえばいいですね、それは。男っていうのは、「一発やってやろう」とか「やらないと情けない」みたいな。そういうのはヤメたほうがいいですよ。

同時に、太田出版から『スエイ式人生相談』という本が出ましたが、あの本にも「目標は持たないほうがいい」とか言われてましたね。

スエイ 目標を持つとね、苦労するんですよ、だいたい。一生懸命努力しないといけないから。ないと全然苦労しなくていいから。

でも、スエイさんは会社では上のほうの立場にいらっしゃる……。

スエイ だから言いますよ、目標持てって(笑)。社会性があるんでね。

一同 (爆笑)

スエイ だから「働くのヤメよう」なんて言えませんよ(笑)。

でも、ご自分の本では思いっきりそういうことを……。

スエイ 働くことは悪いことではないですよ、全然。「誰のために働くか」ってことが大事だと思うんですよ。

それは、やっぱり好きな人?

スエイ はい。

 

1人で死んじゃうとね、
他人同士ということですから。
死ぬときは心中

今、「中高年の自殺が増えている」という世の中ですが、好きな人がいて、その人と一緒に楽しく暮らしていこうというのがあれば、自殺とかはしなくていい?

スエイ そうですね、だから、心中ですね。あるとすれば心中。2人で一体になるわけですから。1人で死んじゃうとね、他人同士ということですから。死ぬときは心中。

この日記の中にあるんですけども、千石剛賢さん(イエスの方舟)に影響を受けられたということがあるんですけれど……。

スエイ 僕はね、『父とは誰か、母とは誰か』っていう千石さんの本を読みまして。聖書とかあんまり興味なかったわけですね。何書いてるかわかんないので。全然興味なかったんですけど、千石さんを通して、聖書のことを凄いなぁと思って。で、千石さんの『隠されていた聖書』っていう本を太田出版から出しましたけど、全然売れなかったです。

日記の中でも千石さんの言葉を引用している部分が多いですね。スエイさんが落ち込んでるときとか、ページを丸々引用している日とかがあるので、この本を読んでいる人は、その本も併せて読むように、と。

スエイ 引用だけしているところは、僕が何回も何回もそこを読んだっていうことで、そういう気分。というか、そういう状況だったんで。

今でもweb(ONLINEパチンコ必勝ガイド)のほうで日記を続けているんですけれども、今回この『絶対毎日スエイ日記』をまとめたように、是非、第2巻、第3巻と続けて。もっと熱くしていきたいので、今後も続けていけたらいいなと思っているんですけれども。日記は、まだまだこれからもずっと……。

スエイ はい。

一同 (拍手)

今日のこのイベントのことも、明日のお昼くらいには日記になる。

スエイ そうですね、書いておかなきゃ。

観客 早く寝なさい!

スエイ 明日の朝くらいにね。

明日早く起きて、お昼くらいまでに書くっていう……。

スエイ そうですね。早く起きないですけど。

今後も楽しみに。そしてそれがまとまった際には、本を集めていただいたらと思います。


(以下、ペーソスのライヴステージ)


スマイリー井原さんの前説からペーソスの登場


新曲「白ゆりにて(スエイさんの歌)」を披露するペーソス
メイン・ヴォーカルの島本さん


ペーソスの哀愁漂うギターを奏でる岩田さん


普段は島本さんと岩田さんのフォークデュオとして
活躍中のペーソスだが、この日は特別ゲストとして
パーカッションの塩澤さんも参加


ステージ後半、サックスでスエイさんも参加。
さっきまでの和やかな表情から一転、スエイさんはすでにサックス奏者の顔つきになっている


と思ったが、曲は完全には覚えきれてなかったようだ


しかし、そんなことは問題ない。手拍子と大歓声の中、ステージは終了した

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