
『スエイ式人生相談』出版記念 公開人生相談
池袋ジュンク堂本店 2004年5月12日(水)18時30分〜
聞き手:松田義人(デコ)
公開人生相談1
「年金についてどう思いますか?」
年金制度に対して、末井さんはどう思われますか? 年金をもらうのは難しいですか?(男性)
●年金をもらうのは難しいんですかね。
スエイ わかんない(笑)。もらえるかどうかなんて、わかんないですよね。もし、払わなくても良い環境なら、払わないでおいて、その分を貯金しといたらどうですか。払うべき分を。僕は年金についてはまったくわかんない。いくつになったら貰えるのかもわかんない。そもそも僕は年金に対してあんまり興味がなくてね(笑)。「自分のことは、自分で出来れば……」と思うんですけど、まだ借金が随分あるんですよ、僕(笑)。だから、僕は年金のことよりも、まず先にこれを返さないと。……関係ないですけどね(笑)。
●ちなみに借金はどれくらい?
スエイ だいぶ返したんだけど、まだ何千万か。バブルのとき、不動産を買ったりしてたんですけど、それが3分の1とか4分の1とかの値段になっちゃって、借金だけが残るという状況。あとはまぁ、ギャンブルもありますけど。まぁ、だから、やっぱり年金は払わないほうがいいんじゃないですかね。皆で払わないようにしたほうが、いいような気もします。
●国はどういうことを目標に、年金を集めようとしてるんですか?
スエイ 知らないですね。まあ、だから集めたお金を年寄りに払っていくんでしょ? でも、これからどんどん年寄り増えますからね。僕は今55歳なんですけど、団塊の世代ですから、あと5年くらいすると、みんな会社を辞めてドドッとその世代が年寄りになるわけで。でも、それ国はちゃんと払ってくれんのかなあ? どうなんですかね?
客 借金があってもね、借金自体も差し押さえられるじゃないですか。でも、年金だけは差し押さえられないそうなんです。だから、スエイさんが65になったときに年金をもらってたとして、その時点で借金を作っても年金だけは自由に使えるんですね。でも、若いうちに年金を払わないで、自分で貯金なんかしておくと、その貯金は借金を作ったときに差し押さえるんですよ。
スエイ ああ、そうかあ。
客 で、悩んでる。
スエイ 考えときます(笑)。
公開人生相談2
「作家になりたいんですが、どうしたらいいでしょうか?」
今の仕事を辞めて、作家になりたいんですけど、どうしたらいいでしょうか?(女性)
●どんな作家になりたいんでしょうか。作家といっても、色々……。
客 漫画家の西原理恵子先生が好きで、で、私も「モノを書く仕事がしたいなあ」と思ってまして。でも、やっぱり生活があるんで、今の仕事は辞められないなと思って。
スエイ じゃあ、夜に書かれたらどうですか?
客 でも、残業が苦しくて苦しくて……。
スエイ じゃあ、残業のないとこに勤めればいいじゃないですか。まあ、勤めながら小説書かれてる方もいますよね。電通の藤原伊織さんとかね。仕事も楽らしいんで(笑)。そういうところに勤めればいいと思いますけど。
客 でも、自分にそういう才能があるかどうかもわからないんです。
スエイ そんなの皆わからないですよ。逆に「私は才能がある」って思ってるほうがおかしいですよね(笑)。でもまあ、毎日何かを続けることが大事なんじゃないですかね。僕もね、4年くらい前に「何か表現したい」なんて思ってたときに、日記を書き始めたんですけど。1日30分なり1時間なりをかけて、パソコンに向かって日記書いてるんですけど、そういうことをまず、続けたほうがいいと思いますけど。毎日そういう習慣をつけられたらいいんじゃないかと思いますけどね。
客 日記はつけてるんですけど、「出してもダメじゃないか」と思って。勇気がなくて。
スエイ あぁ、日記を本にするのは難しいですよね。売れないから。でも、持っていかれたらどうですか? まず、自分が書いたものを誰かに見せることは大事ですよ。自信がないなら、できるだけ褒めてくれそうな人に見せて(笑)。それで、「面白い」と思い込むようにしたらいいんじゃないですかね。
客 はい、ありがとうございました。
スエイ こんなんでいいんですかね? 怒らないでくださいね。
公開人生相談3
「影の部分が魅力を作ると思います」
この『スエイ式人生相談』の中に、「奥さんとは何もかも全部話し合ったほうがいい」というようなお答えがあって、そこが非常に印象に残りました。ただ、自分も結婚しているんですけども、中々ちょっと言えないことが凄くあって。「浮気してる」とかそういうんじゃないんですけど。どっちにしろ、ちょっとくらいは影の部分があったほうがお互いに魅力になるような気がするんですが。(男性)
スエイ それは魅力でもなんでもないですよ(笑)。
●スエイさんは、奥さんとの間の隠しごとやウソは、一切ダメっていう……。
スエイ はい。だってウソがないほうが楽でしょう。全部話してたほうが楽ですよ。ウソをつき始めるとね、どんどんどんどん辻褄が合わなくなってくるんですよね。僕、昔愛人が結構いましてですね、今は2度目の結婚なんですけど、前の奥さんのとき愛人のことを全然言えなかったんですよ。もし、それを言ったら「とんでもないことになるな」みたいな。夜、自宅に愛人から怒り狂った電話がかかってきたりすると、そのことを言い訳したりするのが物凄く大変だったりして。だから、そういうのはイヤだなぁ、と。
●自宅に怒り狂った電話がかかってきちゃうんですか?
スエイ そうなんですよ。たまたまその愛人との約束に僕が行かなかったんですね。「行くのイヤだな、もうやめよう」と思って。で、行かなかったら、「何で来ないんだ」っていう電話があって。で、留守電に愛人からの怒り狂ったメッセージが入ってて。奥さんと2人でそのテープを聞いて(笑)。そのときは電話引き抜きましたけど(笑)。だからね、「夫婦は一体であるべし」っていうのが一番ですよね。「ウソが入ると他人同士になる」という仕組みになっているらしいんで嘘はいけません。お互いがわかり合ってないとダメですし、そのほうが楽ですよ。
客 ウソをつくのは確かに良くないと思うんですけど、単に黙ってる、あえて言わない……というのが良いかなぁ、とも思うんですけど。
スエイ 黙ってるとさ、奥さんが不安になったりするんじゃないですかね? 「何考えてるんだろう、この人」みたいになりかねないですよね。
客 正直、これを口に出すのはキツいなぁっていうことでも言ったほうがいいですか?
スエイ 言っちゃうと気持ちいいですよ。でも、どういうことですか? その言えないことっていうのは。
客 個人的な性癖で、長いこと隠しててきたから、今さら言えないようなこととか(笑)。
一同 (爆笑)
スエイ SMとかオムツプレイとか(笑)?
客 そこまでだったら、突き抜けてる感じで逆にいいんですけど、そこまではいってないんで。
スエイ あ、そう。変態なのかと思っちゃった(笑)。すいません。まぁ、でも、夫婦間では隠し事とかウソは言わないほうがいいですよ。SMでも(笑)。
客 どうも、ありがとうございました。
公開人生相談4
「ストーカー寸前です」
3回告白してフラれてる好きな男性がいるんですが、4回目も5回目も告白したいと思ってます。しかし、私の妄想的には「そろそろ気持ち悪がられてる」って思い出してきてて、「どこまでいったらストーカーになるんだろう」と思って。相手に恋愛感情を抱くのをヤメるとしたら、いつがヤメどきなんですか?(女性)
スエイ ヤメどき? 今じゃないですか?
一同 (爆笑)
スエイ 「ストーカーなのかもしれない」と思われてるわけですよね。だったら、そこでヤメないとマズいでしょう。
客 でも、「ストーカーになっても、いいかも」と思ってて。例えば、昔はそういう思いも「純愛」ということで済まされていたのに、今はすぐストーカーみたいな風潮になってきているのが気に入らないんです。ただ、あえてそれをやろうと思ったら、相手に迷惑がかかるかもしれないから、そこは葛藤なんですけども。
スエイ まあ、でも、相手に迷惑がかかるようなことはヤメたほうがいいと思いますけどね。その人が好きなら。
●この『スエイ式人生相談』の中でも、男性の方からの「どうしても好きな人がいて忘れられない」という相談に対して、スエイさんが「そんなに思うなら、もう一度真剣に『いかに幸せにできるか』という話をしてみたらどうか」っていうお答えがあったんですけど。
スエイ うん。でも、それは男の場合ですよね、女の人はまた別だから。女の人が男を幸せにするということは出来ないですから。もし、それをやるとボロボロになるんです。難しいですよね。僕は「イエスの方舟」の千石剛賢さんの影響を受けてて、色々お話を聞いて指針にしてるわけなんですけど。だからそれは千石さんのお話でそういう風に聞きました。実際、そういう感じありますよね。昔、よく風俗に取材に行くと、結構ダメな男の人、ヒモみたいな人がいるんですよ。男は全然働かないで遊んでばっかりいて、ずっと女の人が働いて食べさせてあげたり。しかも男のほうが暴力をふるったりして(笑)。それは悲惨ですよ。だからね、「男の人が女の人を愛して、女の人は男の人に愛されている喜びを感じる」っていうのが、理想だと思うんです。
●でも、「好きな男の人から愛されたいけど、そういう人がいない」っていう場合は?
スエイ いや、いますよ。まあ、誰かいますよ、絶対。でも、その気持ちを感じ取る力が必要ですよね。「自分を愛してくれる人は誰なのか」っていうことをね。まぁ、個人差がありますけど、そういう気持ちを感じたほうがいいですね。だから、ボロボロになる前に、ヤメたほうがいいでしょうね。色々いっぱいいますよ、男の人なんて。
客 がんばって生きていこうと思います。
公開人生相談5
「自分に向いている職業の見つけ方とは?」
今、就職活動中なんですけども、スエイさんは自分に向いている職業をどういう風に見つけたのでしょうか。(男性)
スエイ なりゆきですね(笑)。自分で「こういう風になろう」っていうのはなかったんですよ。元々僕ね、中学を卒業して働こうと思ってたんですよ。凄い山奥に育って、食べ物がものすごく貧しい幼少期を過ごしたんです。甘いものとかがないんでね、子供歯磨き食べたり、山にある木の実を食べたりとか、そういうものしか食べられないような(笑)。そういう状況の中で育ったんで早く働いて、とにかくお金を稼いで「何かを食べたい」っていう。そういう動物みたいな発想だったんですけども(笑)。で、まあ、中学を出て働こうと思ったんですけど、成績が一番だったんで学校の先生が「スエイ君は高校に行ったほうがいい」って親父のところ来まして。「じゃあ行くか」みたいな感じで。で、奨学金をもらって高校に通ったんですけど、「とにかく働きたい」と思ってたんで、工業高校の機械科に入って。そのほうがすぐ就職出来るんでね。だから、僕は「高校を出たら工場で働こう」と思ってて、それ以外のこと一切考えてなかったんです。で、大阪の工場に勤めたんですけど、昼夜三交替の奴隷のような職場で3ヶ月で逃げ出しまして。それで東京出てきたっていう(笑)。それからデザイン学校に入ったり、デザイン会社に入ったり、キャバレーの広告をやるようになって。それから出版の仕事をやるようになったんです。だから、流れがなりゆきなんですよ(笑)。
●最初は、編集者が凄いイヤだったっていう……。
スエイ キャバレーの広告の後に、フリーでエロ本関係の仕事をやってたんですけど、エロ本の編集者に酒飲みが多かったの。で、打ち合わせと称してね、酒を飲みに連れていかれてね。僕は当時お酒が飲めなかったんですけど、「スエイ君、飲め飲め」とか言われてビールなんか飲まされて。頭クラクラしちゃって(笑)。それがイヤだったのと、大体エロ本をやってる人たちからは愚痴が出るんですね。「昔は中央公論にいたんだ」「本当はこういうのをやりたくない」とかね。それが僕はイヤで、だからまあ「編集者にはなりたくない」と思ってたんだけど、なりゆき上、編集者になってしまったという。
●相談された方は具体的に何か就職活動で悩んでいらっしゃるんでしょうか。
客 いや、悩みは特にないんですよ。
一同 (爆笑)
客 ただ、スエイさんがどうやって仕事に就かれたのかなぁ、と思って。実は今日、内定をもらいまして。
一同 (拍手)
スエイ サラリーマンはまあ、調子よくやることですよね。偉い人にゴマすってね(笑)。
公開人生相談6
「父を癒す方法は?」
うちの父はデザイナーをしていたんですが、先日、会社が倒産しまして、愛人にも捨てられて、今とても落胆しているんですけれども、どうしたら癒してあげる事が出来るでしょうか?(女性)
●お父さんはデザイナーとのことですが、有名な方ですか?
客 いや、そんな。でも、父はもうムチャクチャ遊んで。家庭はボロボロです(笑)。母とは一緒に生活してるんですけど、母は遊ばれたときのことをいまだに根に持っているんです。
スエイ 愛人は何人いたんですか?
客 いや、1人なんですけど。8年くらい続いてたんですけど、どっかに旅立っちゃって。
スエイ 薄情ですね。愛人のほうも。
一同 (爆笑)
スエイ まぁ、でも癒してあげたらいいんじゃないですか? お父さんのこと好きなんでしょう。
客 お母さんが?
スエイ いや、あなたが(笑)。
客 あぁ(笑)。でも、今一緒に住んでいなくて……。父は、大阪のほうで働いてるんですけどね。最近、凄いメールが増えて。
スエイ じゃあ電話してあげたりすればいいんじゃないですか? 癒すっていうか、あなたが話してあげるのがお父さんにとっては一番いいんじゃないですかね? でも、大変ですね、お父さん。お母さんに謝ったらいいんじゃないですかね。土下座でもして。
客 それができないんですよ。男の意地があるみたいで。
スエイ 意地!? 意地はダメですよ。意地張っちゃ。言ってあげてくださいよ、お父さんに。
客 わかりました。じゃあ頭下げるように言ってみます。
公開人生相談7
「本は売れないのですか?」
僕は出版社に就職志望なんですが、『絶対毎日スエイ日記』という本を買いまして、その中で「雑誌が売れなくなってる」っていうのを読みまして。今、雑誌を作ってる側からすればやっぱりそうなんでしょうか。具体的な話を聞きたいです。(男性)
スエイ 売れないですよ、今。何も売れないです。まぁ、だから、「売れない」っていうことをベースに考えたほうがいいですよね。売れてる雑誌もありますけど、基本的には売れないです。今はまだ学生ですか?
客 今はまだ学生で、来年就職なんです。で、「編集をやりたい」っていうのがあって、編集者が書いた本を読んだりしてるんですけど。あと、スエイさんは、絵を描く人から編集者になったじゃないですか。僕、絵がめちゃくちゃ下手なんですけど。
スエイ いや、絵が描ける編集者ってのは少ないと思いますよ。だから関係無い。僕は編集者と言っても、特異な例だから、僕のことを基準にしてもらったら困るんですけどね(笑)。普通編集者って割と本を読む人が多いんですけど、僕は本も読まないしね、あんまり。そもそも大学を出てない、高卒ですからね。ちょっと中途半端ですよね、高卒は。中卒なら威張れたんだけど(笑)。
●相談された方は、じゃあ来年から就職活動をされるんでしょうか。
客 はい、かたっぱしから出版社を。大きいところから小さいところまで。
スエイ 出版社は小さいところのほうがいいと思いますよ。編集プロダクションとかね。集英社とか小学館とか講談社に入ろうとか思わないで。小さい会社はね、なんでも自分で出来る可能性があると思うんですよ。大きな出版社に入ってさ、例えば『少年ジャンプ』の編集部に入ったりすると、漫画家の誰それの担当っていうことで仕事が決まっちゃうでしょ? 1年や2年はそのことばかりやるからね。それが好きな人ならいいけど、自分で何か企画して本をつくろうとか思う人は、中々難しいような気がするんですよね。どういう本が作りたいとか、そういうのはあるんですか?
客 好きな本は西原理恵子さんとかですね。なんか担当の編集者の方がよく出てきて。
スエイ あっ、自分が出たいの?
一同 (爆笑)
客 いや、「作家さんと一緒になって本を作る」っていいなぁみたいな。カッコいいな、みたいな。
スエイ じゃあ書籍の方ですか? 希望は。
客 そうですね、雑誌よりは。
スエイ じゃあ太田出版かアートンで(笑)。あとはどこか好きな本を出してるところとかね。
●スエイさんが会社で面接をされる際に、人のどういうところを見るんですか?
スエイ 昔はね、とにかく変わった人ばかりを入れてたんですよ。20人か30人くらい面接に来ると、だいたい皆同じだから全然記憶に残らないんですよ。その中で記憶に残っている人を入れたりしてたんです。でもね、変わってる人はやっぱ変わってますよね。
一同 (爆笑)
スエイ だから、昔はそういう変わった人を会社に入れてたんだけど、会社の仮眠室に自分の荷物を全部持ってきて、住み着いちゃった人がいるんですよ。そういうのはちょっとマズいなって思って。それからはあんまり変わった人は入れないようにしました。まあ、自分がやりたいことをハッキリ持ってる人ね。そういう人を採りますね。ただ漠然と「編集者になりたい」じゃなくて。
●白夜書房の会社案内には、「社会性があって壊れた人を募集します」っていうスエイさんの言葉が書いてあるんですが。
スエイ 矛盾してるよね。大体壊れてる人は社会性ないから(笑)。まぁでも、もし、そういう人がいれば、雇いたいですよね。社会の規範のようなモノに縛られてる人はなかなか面白い発想しないんですよね。面白いことを考える人のほうが良いんで。松田君は面白いですよ。松田君はもともとデザイナーだったんだよね?
●グラフィックデザイナーですね。
スエイ でも、顔は土方系でしょう(笑)。
一同 (爆笑)
スエイ そういう人はいいんじゃないでしょうか。顔は大事。そういう答えになってしまいましたけど(笑)。
公開人生相談8
「出版社は本を単に商品と考えているのでしょうか?」
今は、テレビのガイド本、ゲームの攻略本、パチンコの本などが売れています。でも、そういった本が売れるということは、読者は、そのジャンルのこと自体で面白くなってしまい、どんどん本を読まなくなってしまう現象が起きています。そういったことをする一方、「出版不況だ」ということで、「小学校で本を読ませよう」というような逆の運動も出てきています。出版社にいる人たちは、出版物に対して本を単に商品として考えているのか、出版業界全体のこれからのことをちゃんと考えているのか、それを伺いたいと思います。(男性)
スエイ 難問ですね(笑)。ただ、僕はね出版社ってそこが非常に曖昧だと思うんですよ。「良い本を作りたい」とか「良い本を出したい」っていうのは、どこの出版社でもあると思うんですよね。でも、その一方で「売れないといけない」っていうのもあるんです。そこは今まで、非常に曖昧にしてきて、悪く言えば誤魔化してきたと思うんですよね。だから、「どっちかハッキリしよう」っていう感じはしますけどね。
●スエイさんがいる白夜書房では、絶対に採算は取れるもんじゃないとダメ?
スエイ 白夜書房の社長は売れるものを優先してますね。でも、「売れなくてもいいもの」なんていうのは編集者の自己満足のようなものなんですよ、たいてい。「俺は良いものを作ったんだけど、売れなかった」みたいな。でも、そんなものは会社にとってはゴミですから。
客 スエイさんは、雑誌のパイオニアとして色んな部分を見て編集されてきたから良いと思うんですけど、似たような、二番煎じみたいなものも出てきたりして。
スエイ でもね、出版業界では、二番煎じみたいなものは普通らしいですよ(笑)。もはや、二番煎じとかいう言葉はないんですよ。どこかの出版社で売れるものが出ると、すぐにパッと真似します。僕がパチンコ雑誌を作ったときにも、すでに先に出てるのがあったんですよね。と言っても、それを「真似しよう」と思ったわけじゃないんだけど、僕自身がちょっとパチンコにハマりましてね。で、「パチンコ雑誌を作ろう」みたいに思って。ただ、二番煎じ三番煎じでやるからには「一番にならないといけない」というような気持ちがあって。結果一番になりましたけど。
客 そうやって作っていただけると有り難いんですけれども、二番煎じの雑誌はどんどん粗悪になっていきますよね?
スエイ たいてい、そうですよね。僕もそれがすごいイヤなの。イヤなんです。だって面白くないでしょう、今あるものと全く同じことをやっても。今あるものは、もうその1冊があればいいじゃないですか。「売れてるから、真似して出せばそこそこ売れる」っていう発想ですよね。そこがあんまり好きじゃないんですよね。だから、僕は経済優先で考えてないのかもしれませんけど……。
●前後しますけど、パチンコにハマったきっかけというのは?
スエイ 気持ちが内向してたからでしょうね。1週間ぐらいでパチンコ中毒になって。それこそ朝10時にパチンコ屋に行って、毎日パチンコをやるんですよ。それで、2時3時頃までやって、出たり出なかったりで、出なかったら悔しいからさらにやったりして。そうして、夕方くらいになっちゃうんですよ。それからやっと会社に行くでしょ。そしたらね、凄く自分が悪いことをしてる気分になっちゃうんですよね。「皆から白い眼で見られてる」みたいな。そういうことを1ヶ月くらい続けると、社会から落ちこぼれてるみたいな気持ちになるんだよね。でも、そういう気持ちってパチンコをする人はみんな持ってるんじゃないか……みたいに思って。それが肝ですよ。そういう肝がわかったら雑誌は何やったって売れる。その辺がわかれば大丈夫です。
客 「単なる二番煎じせざるを得ない」というのは時間が原因だとも思うんです。皆忙しくて。昔は、仕事が終わってからも色んな作家と付き合って、そういうことができてクリエイティブな才能が出てきたんだと思うんですけども。今の編集者に面白いことが出来ないっていうのはやっぱり遊べてないからじゃないか、と。
スエイ そうね。リストラでね。リストラするとさ、そこに残る人の仕事が増えていっちゃうんだよね。そういうことでしょう。今、日本で景気のいい会社なんて大体そうですよね。クビ切って経費を減らしてるだけなんですよ。
●でも、かと言ってスエイさんが『パチンコ必勝ガイド』を出したとき、『写真時代』を出したときも、時間はなかったわけですよね。
スエイ うん。時間ないですよ。だって、夕方までパチンコを打ってるんだもん。
一同 (爆笑)
スエイ 『パチンコ必勝ガイド』を始めたときも最初は僕一人で、ちょっとしてアルバイトの人が入ってきましたけど、毎日夜中の2時くらいまで仕事やるんですよ。それで、また次の日の朝10時にパチンコやりに行かないといけないから。「家に帰るのが面倒。時間がもったいない」みたいな感じで机の下で寝るんですよ。そういう生活でしたけどね。雑誌やるとね、24時間営業になっちゃって、本当に大変ですよね。ただ、楽しいからね。やってるとハマっちゃうんだよね。そうすると寝ないでもやれるんです。別に覚醒剤やってるわけじゃないですけどね。
一同 (爆笑)
●でも、それは本当に自分の好きなことだからできるんでしょうね。
スエイ そうだよね。今はそういう人は少ないんじゃないですか? 結構みんな「自分の時間」みたいなものをキッチリ分けてる人もいますよね。だからこう、時間が来たらパッと帰っちゃう人もいたりして。でも、そういう人の作るものは面白くないですよね。でも、そのジャンルにハマってる人が作った雑誌は面白いですよね。あまりにもズレてたら売れないでしょうけども、面白いですよね。そういうものはね。
公開人生相談9
「性格が真面目過ぎるんです」
自分は性格が真面目すぎるところがあります。他人の言うことを何でも真に受けちゃったりとか、断れないというか。「こんな自分はどうなのかな」っていう……。(男性)
スエイ 「何でも真に受けちゃう」……バカ?
一同 (爆笑)
スエイ そういうわけじゃない(笑)。でも、それは真面目とは言わないから、純真っていうのかな?
●断れないことについては?
スエイ 断わらないと、大変になりますよ。僕もね、昔は断れないことが多かったんですけどね。例えば、借金ね。ついついお金を貸しちゃうんですよね。でも、借金する人って、お金を返さない人のほうが多いんですよ。例えば僕が10万円くらい貸しますよね。1万とかなら良いんですけど、まぁ10万以上。そうなると僕は忘れないんですよね。で、だんだん「その人は僕から10万円借りてることを覚えてくれてるのかな?」って不安になるわけですよ。そのことが頭に残ってるから、その人との関係もあんまり良くないんですよね。「お金、返してくれ!」とかも言えないし。それが難しい。だから、今は知ってる人にはお金は貸さないようにしてます、基本的には。人間関係が悪くなるからね。相談された方はどういうことを断れないの?
客 具体的に言われると、思い浮かばないんですけれども……。
スエイ 主体性がないんじゃない? 主体性なんか別になくてもいいんですけどね。「人に合わせる」ってことは凄い良いことだし。人からは好かれるでしょ?
客 まぁ、少しは……。
スエイ どうしたいんですか? 自分を変えたいの? どうなの? 苦しいの?
客 こんな自分はどうなのかなって言う……。
スエイ 要するに「自分は他の人からの誘いに行きたくないんだけど、ついついこの人に合わせて行っちゃう」みたいな? そういうこと?
客 そういうことですかね……。
スエイ まぁ、でも、いいんじゃないですかね。人に合わせたほうがいいですよ。大丈夫。
公開人生相談10
「自我のコントロールが中々上手くいきません」
私は自我のコントロールが中々上手くできません。いつも「自分自分」ってなっちゃうんです。これを何とかしたいんですけど……。(女性)
スエイ 聖書を読んだらいいんじゃないですかね。
客 ずっと読んできたんですけど……。
スエイ でも、実践しないとダメだよね。読んでるだけじゃなくて。聖書に書かれていることを実践すれば、エゴはなくなるようになってるんですけど。自分がイエス・キリストに近づけばいいんです。皆、エゴを持ってるんだけど、あらゆる不幸の原因はそのエゴにあるわけですから、弱くしないとダメですよね。でもね、自分で「自我が強い」ってわかって、気がついてるわけだから、大丈夫じゃないですかね? 「自我が強い」っていうことを自分でわかってるか、わかってないかで天地の開きがあると思うんだけどね。松田君はね、結構エゴが強くて大変だったみたいだけど(笑)。自分の体験を話してあげればどうですか?
●いやいや。でも、自分のことばっか考えてると、最終的には孤独になりますよね。
スエイ うん。僕もエゴも強いし、自意識も強いんで、僕は文章とか日記を書いたりしてるんですよ。そうやって何かを書いてみたりとかはどう?
客 そういう「自我を別の形で吐き出す」ってことでしょうか。
スエイ 大体ね、物を書いたり表現をする人っていうのは自我が強いんですね。自我が弱い人は、わざわざそういうことをしなくても生きていけますけど。
●スエイさんのインタビューで、「表現をしなければいけない人は表現をなんでもいいからする覚悟を持つこと」みたいなコメントがありましたが。
スエイ そうだよね。それしかないもん。「ギャンブルをやってないと、生きてない」っていう感じの人がいて、そういう人は普段は死んでるんです。普段は死んでるけど、100円でもいいから賭けてると生き返るの。それと同じで、表現しないと生きられない人がいるんですよね。そういう人は表現し続けるしかない。でも、表現っていうのは「自分が何かを表現する」だけじゃダメで、それを見る人が必要ですから。人に見せて初めて表現が成立する。当然、人に見せると無視されたり、批判されることがあるんですけど、それにくじけないことですよね。くじけたらお終いになっちゃうから。まぁだから、自我が強いんだったら、「何かを書く」とか「表現する」とかして、それを続けることじゃないですかね。5年10年続けたら何とかなるもんですよ。技術が磨かれるっていうか。そこまでは諦めないことじゃないでしょうか。
●相談された方は、今まで何かを書いたりするようなことはあったんでしょうか?
客 時々ですね。サークルで書かなきゃいけないものとかは書きます。
スエイ それは人に見せないとダメですよ。
客 相当恥ずかしいですけど……。
スエイ でも、人から褒められたりするとね、凄く嬉しいですよ。励みになるし。さっきの「作家になりたい」という人にも言ったけど、最初は褒めてくれそうな人に見せれば良いんじゃないでしょうか?
客 そうですね。ありがとうございました。
公開人生相談11
「第一印象の私は……」
私は今大学4年生で就職活動中なんですが、どうしても編集者になりたくて、勉強もいっぱいしてるんですが……。どうしても編集者になりたいんですけど、スエイさんから御覧になって、第一印象の私は編集者に向いてるんでしょうか?(女性)
スエイ いや、それだけじゃ難しいなあ。
●でも、さっき「顔は大事だ」って。
一同 (爆笑)
スエイ 「顔は大事」ね(笑)。まぁ、この方の顔は魅力的だと思いますけど。でも、やっぱりわかんないですよ、顔だけじゃ。「編集者になりたい」っていう気持ちを強く持てば顔に出るんじゃないですかね(笑)。責任はもてないけど、あの、持たない人よりは全然違うと思いますけどね。ただ、就職活動で言うと、さっきも言ったけど、別に「大きいとこに入ろう」と思わなければいいんですよ。「マガジンハウスに入りたい。白夜書房はイヤだ」とか、そういう人は結構いるんですけど、そうじゃなくて「編集をやりたい」ということだけを一生懸命考えていれば、別に会社どこでもいい、みたいになると思うんです。もちろん、やりたい本、やりたくない本はあると思いますけど、そういうことを優先して考えたらいいんじゃないですか?
●ちなみにやりたい雑誌とか本とかはあるんでしょうか?
客 あります。結構困ってはいるんだけど、『東京人』とか皇室の雑誌とか。
スエイ 自分で企画書を書いて面接に持ってけばいいんじゃないですか? 結構「おっ!」と思うかもしれませんよ。どこの出版社も企画で悩んでますからね(笑)。
公開人生相談12
「歳のとり方」
仕事を始めて4年目になります。仕事をしていると、凄く仕事が面白くて、ハッと気付いたらもう4つも歳をとっていて、「ああ、このまま歳をとっていくんだろうか」と思ってるんですが、スエイさんはどんな風にお歳をとられてきたんでしょうか。(女性)
スエイ 最近、体が老化しているイメージはあるんですよね。運動不足だったりして。それで雨が降ると膝が痛くなったり。でもね、それは肉体的な老化でしかなくて、精神的なことじゃないんですよね。「歳をとる」ということを僕はあんまり気にしてないんですよ。大体みんな演技して歳をとると思うんだよね。みんな本当に気がついてないと思うんだけど。例えば、僕はサラリーマンだから、歳を取るとこう役職つくじゃないですか。係長とか課長とか。そうなってさ、自分に部下ができたりすると、ちょっと威張ったりする人がいるんですよね。「威張らないとマズい」「俺はこいつらの上司だから」みたいなね。そういうことの積み重ねで大体みんな歳を取っていきますよね。僕はできるだけそういうことをやらないようにしてるから、そんなに自分で歳をとっていってるっていう感じはないんですけどね。
公開人生相談13
「『平凡パンチ』に関わってませんでしたか?」
スエイさんは「平凡パンチ」の編集に関わってませんでしたか?(男性)
スエイ 関わってないです。
一同 (爆笑)
スエイ 読んでたことはありますけどね。
(以下、近況などのインタビュー)
本物の女装者がそこにいるんですよね。
全然知らない人なんだけど、
ふと目が合ってニコッとして(笑)
●「女装はもうしない」っておっしゃってましたが。
スエイ そうですね。女装はもうしません。僕は別に女装者ではないからね。僕がテレビのコマーシャルで女装をやってたんで、そのときに撮った写真が結構あるんですけど、それを松田君が結構使うんですよね。なんで使うのかっていう(笑)。
●女装を始めたきっかけは?
スエイ きっかけというか、初めて女装をしたのはね、20年くらい前に「エリザベス」っていう女装をする人が行くお店があるんです。そこに4〜5人で女装をしに行ったことあるんです。ある雑誌が「もうヤメる」っていうんで「最後は女装をしよう」ということになって。なんで女装するのかは全然分からないんですけど、僕も発行人だったから、みんなで「エリザベス」に行って女装したわけです。中には「俺はヒゲを剃りたくない」とか言う人もいて、そういう人は女装してもお笑いみたいになっちゃうんですけど、僕はそのときに女装にハマったんですね。女装っていうのは、最初に女性の下着をつけるんです。そういう個室があって、そこでジワジワこう盛り上げていくんですよ、気持ちを。すると、こうだんだん気分が盛り上がってくるんですよ。口紅とか塗って、カツラをポコッと乗せると、「おっ!」ってなっちゃう。「自分の中にもう一人の自分がいる」みたいなね。鏡を見て「あれ、あの人誰?」「あっ、私だ」みたいなね。それから、みんなでワイワイワイワイ言いながら、中のサロンに行くと、本物の女装者がいるんですよね。全然知らない人なんだけど、ふと視線が僕だけにくるんです。目と目が合ってニコッとして(笑)。「通じ合うモノがある」みたいな。そういう体験が20年くらい前にあったんだけども、それからしばらく経って、うちの奥さんですけど、神蔵美子が「女装者でない人の女装写真を撮る」っていうプロジェクトを始めまして。で、その第1号が僕だったっていう。
●じゃあ、神蔵さんとの出会いっていうのは、女装がきっかけだったんですか?
スエイ 女装が付き合うきっかけではあったけど、前からは知ってました。荒木経惟さんのパーティなんかでよくお会いしてましたし、『写真時代』にも写真を撮ってもらったことがあるし。僕は担当じゃなかったけど。そういう、まあ、名前は知ってたし。まあ、きっかけは女装して、その出来た写真を見せてもらったりして、それで2人で会うようになった。そういう感じですね。
裸でペンキを持って、
ペンキを頭からカブって、
道路で転げまわって(笑)
●女装すると「表へ出て歩きたくなる」みたいな話を聞いたことがあるんですけど。
スエイ 森田豊子さんっていう人がやってる、大阪の「スウィッチ」っていう女装クラブでね(笑)。そこは割と活動的なのね。「エリザベス」なんかはあまり外に出ないんですけど、そこは女装して「みんなでどっかに行こう」みたいな感じで、テニスに行ったり水泳に行ったりするところなんですよ。僕が行ったときは夜だったから、「カラオケ行こう」ってことになって、何人かでカラオケスナックみたいなとこに行って、歌ったり、街を歩いたりして。
●それは恥ずかしくない?
スエイ 恥ずかしくないですよ。気持ちいい(笑)。男って人から振り向かれないでしょ? 街を歩いてても。でも、女装してるとみんな振り向きますよ。
一同 (爆笑)
スエイ 「お! オカマだ」とか言われますよ。「でけぇなあ」とかね(笑)。
●話がさかのぼっちゃいますけど、かつてはストリーキングもやったことがあるという。
スエイ やりましたね。ストリーキングっていうのは今は流行んないですけどね、昔結構ね、あったんですね。原宿とかで、ビャーッと1分くらい真っ裸の人が走ったりね。そういう時代があったんです。当時、僕はキャバレーに勤めてたんですけど、キャバレーに勤めた理由っていうのが「自由にデザインできる」「自由に表現できる」っていうことだったんです。宣伝科でチラシとか看板を作ってたから。でも、まぁ、キャバレーっていうのは軍隊みたいなとこで、自由にできるわけでもなかったし、だんだんイヤになってきてて。そういうモヤモヤしてた時期に、「よし、じゃあストリーキングをやろうか」ってなっちゃって(笑)。まあ、でも、それは「道路に絵を描く」っていう表現ってことで、裸でペンキを持って、ペンキを頭からカブって、道路で転げまわって(笑)。
●じゃあ、それと女装とは違うってことですね。
スエイ 全然違いますよ(笑)。
「人間が猫に飼われてる」
「猫の奴隷、召使い」
って感じになるときがありますよね
●今、スエイさんがハマってるようなことはありますか?
スエイ ないです(笑)。しいて言えば、猫ですね。猫はかわいい。猫にハマってますね。うちにね、3匹いるんですよ。
●「猫は尊敬できる」「犬は尊敬できない」っていう話を聞いたことがあるんですけど。
スエイ あぁ(笑)。まあ、僕は犬も好きなんですけど、どっちかっていうと猫ですね。犬って大変そうなんですよね。犬がね。尾っぽふってペロペロしたりして。でも、猫って割と気ままじゃないですか。ちょっと人間にスリよってきてゴロゴロって言ったかと思ったら、すぐまたどこかに行っちゃったりしてね。そういうほうがいいなと思って。猫のゴロゴロは体にいいらしいんですよね。低周波かかなんかがでてる。胃が痛いときなんかは猫乗っけて、ゴロゴロ言わしておけば治るらしいですよ。治んないかな? わかんないけど(笑)。いい加減なこと言っちゃダメだよね。
●ということで「猫は尊敬できる」?
スエイ いやでもね、猫はね、やっぱり凄いです。ある意味、「人間が猫に飼われてる」「猫の奴隷、召使い」って感じになるときがありますよね。そこがいいっていうか。犬は主従関係がしっかりしているけど、猫の場合はどっちが主人なのかっていうのがわかんないときがある。「ニャー」って言って命令されたり(笑)。
社会とのギャップというか、
社会の矛盾というか、
そういうことをいつも思ってるんで
●スエイさんは人と人との関係で、どっちが上かどっちが下かみたいなのはあんまり好きじゃないという。
スエイ そうですね。割と対等に話せるとか、対等の意識を持ってるほうがいいですよね。どっちかが偉いとか偉くないとか、そういう関係は好きじゃない。
●でもスエイさんは会社では凄い偉いお立場で……。
スエイ だって、会社っていうのは組織作っていかないと上手くやっていけないでしょう。だから、誰かが上司みたいなものを作るんですよね。そうしないと命令系統がムチャクチャになるのよね。本当はそんなのナシにして「楽しくやろうよ」って思うけど、そうなると会社が成立しないんですよね。だから、社長がいて、専務がいて……みたいなことになるんですよね。そのシステムの中では、僕は上のほうにいるんだけど、それだけのことですから。辞めちゃえば、別に僕はただの普通の人で、全然関係ないんだもん。だから、そういう中では、色々多少演技しないといけないところはあるわけ。
●ときには?
スエイ そう。ときには(笑)。ときにはちょっと怒って見せたり。
一同 (爆笑)
スエイ 本当はそういうことしたくないんですけど。
●「権力なんて最初から持たないほうがいい」とも聞いたことがあります。
スエイ そうですね。権力って言ってもね、一概に社会的地位だけじゃなくて、お金を持ってることも権力だし、言葉を持ってることも準権力みたいなところはありますよね。難しい……。
●対して、落ちこぼれてる人のほ うにシンパシーを感じる?
スエイ うーん……どう言えばいいのかなぁ。社会から落ちこぼれてる人に対してコンプレックスがあるんですよね。僕、割と世渡りを上手くやっていけちゃうんだけど、気持ちの中では全然上手くやっていけてない。社会とのギャップというか、社会の矛盾というか、そういうことをいつも思ってるんで。だから、ホームレスやってる友達とか、ヤクザだとか、右翼だとか、まぁ、そういう社会からハズれてる人達のほうが僕は好きなんですよ。
●そういう人のほうが実はマトモなんじゃないかという?
スエイ そうね。必ずしも、そういう人ばっかりじゃなくて、人それぞれだとは思うけど。だから、社会でやっていけてる自分は、凄くあくどい奴なんじゃないか、とか。そういう気持ちがいつもあるんですよ。
|