第6回・滝本淳助さん


ここでは月に一度、スエイさんの知人友人の方に、スエイさんとの付き合い、関係、思い出などを語っていただきます。バックナンバーは一番下から飛べるようになってます。御覧ください。


第6回 滝本淳助さん

スエイさんが編集した雑誌でカメラマンとして活躍した滝本淳助さん。モデルとしても人気を博し、滝本さんの個性的な価値観を紹介した「タキモトの世界」(久住昌之氏との共著・太田出版)もいまだに古本屋で高値で取引きされるなど、根強いファンがいます。今回は「尊敬する人はスエイさん」という滝本さんにスエイさんとの出会い、現在の状況、トラウマからくるホモへの憎悪までの話をうかがいました。


あの頃僕、まだ学校行ってた頃ですよ。
大学8年通ってましたから(笑)

 

滝本さん、その手どうしたんですか?

滝本 燃えた。

燃えた(笑)。

滝本 ジッポのライターにさ、オイルを入れてて、そのオイルが手に付いてたらしくて、火をつけたら燃えた、手がブンッて。マズいでしょう、それは。

マズいですよね。

滝本 マズいマズい。で、必死に消してね、15分くらい手を冷やしてさ。水膨れになってるんだけど、とりあえずガムテープを巻いてね。

スエイ 手当ての仕方が凄いね。

滝本 戦場って感じでしょう。治るね、多分。

そんな滝本さんなんですけど、スエイさんと出会ったのはいつ頃の話ですか?

滝本 『ウィークエンドスーパー』ですね。1978年くらい。

スエイ 滝本君が東京キッドブラザースの専属カメラマンでニューヨークに行ってて、帰ってきた頃くらいだよね。

滝本 あの頃僕、まだ学校行ってた頃ですよ。大学8年通ってましたから(笑)。自分で言うのもアレなんだけど、結構得意だったのね。インタビューの顔写真を撮って、表でもう一枚撮るみたいな仕事が。内田祐也さんとか泉谷しげるさんとか、自分としてもウマく撮れたっていう自信があったから、それで気に入ってもらえたのかなぁ、と思ってるんだけど。

スエイ それからはインタビューとか座談会とかは滝本君にずっと撮ってもらったんですよ。『ウイークエンドスーパー』『映画少年』『写真時代』『写真時代jr.』。南(伸坊)さんの「笑う写真」とかもそうだったし、『パチンコ必勝ガイド』の創刊号くらいまでは撮ってもらってたんだよね。

 

まぁ、色んなことを
やらせてもらいましたよ

滝本さんはカメラマンとしてもちろん優れた方ですけど、スエイさんの雑誌の中ではモデルとしても活躍されてましたよね。

スエイ うん。僕が一番覚えてるのは『映画少年』っていう雑誌で滝本君が「フンドシ少年」をやってたんだよね。僕の企画じゃなくて別に面白いとは思わなかったんだけど、「少年」ってことでまぁいいかな、と思って。で、滝本君がフンドシをつけて街を歩いたり、喫茶店でお茶を飲んだりしてね。それが偉いと思った(笑)。普通イヤじゃない、フンドシで街を歩くの。

一同 爆笑


フンドシで街を歩くことが大して面白いとは思わないが、
偉いと思った(スエイ)

 

スエイ あとは金良夫っていう謎の韓国人に滝本君が扮して、「ラインの法則」っていうのをあみ出したりとかね。

ナンなんですか、その「ラインの法則」っていうのは。

スエイ スカートの女の子のパンチラが見える位置っていうのは、女の子が開いた脚の角度の延長線の範囲内にあるという画期的な発見ですね(笑)。それを「ラインの法則」と名付けて、そのラインの範囲内にさりげなく入って、サッと写真を撮ってサッと立ち去るっていう。

一同 爆笑

滝本 まぁ、色んなことをやらせてもらいましたよ。「滝本淳助と写真漫画プロダクション」っていうのを作って見開きで物語を作ったりとか。

そういう中で、名著「タキモトの世界」(久住昌之さんとの共著)も生まれたわけですよね。

スエイ そうだね。あれは面白かったよね(笑)。

 

だから、今はほとんどないですね、仕事は。
繋げることができなかったんですね

最近は一緒に仕事をされる機会はほとんどないんですか?

スエイ ないね。何かあったら頼みたいんだけど、僕は現場にいないから。最近は仕事してないの?

滝本 ほとんどないですね。昨日ね、夜中にマイクロテープで1994年の留守番電話のテープが出てきたの。それを聞いてみたんだけど、物凄い忙しいね、この頃の俺。色んな出版社から電話が入ってるわけ。「滝本さんの御都合は……」とか「明日中にモノクロのプリントを……」とかね。その留守番電話のテープを聞きながらですね、なんで今2004年になりましてですね、仕事がついに1本も無くなっちゃったのかなぁ、と考えてたんだけど。才能がなかったのかもしれないけど(笑)、今は仕事がほとんどないですね。繋げることができなかったんですね。(唐突に)でも、今は焼肉ランチ。

は?

滝本 昼は焼肉ランチ。御飯大盛、おかわり肉、カルビ。で、だいたい余っちゃう。で、夜はうな丼。2週間くらいそれを続けてます。

食事へのこだわり方がまさに「タキモトの世界」ですね。

滝本 はい。でも、偏食だから口内炎になっちゃってクリーム塗ったり、薬を飲んだりしてますけどね。

スエイ でも、お金も使ってたらなくなっちゃうよ。

滝本 なくなっちゃうんですよね。なくなる、なくなる。

一同 爆笑

 

スエイさんが凄いのはね、
「面倒臭い女の人」っていうか
「大変な女の人」を相手に選ぶところですよ

以前、滝本さんから「スエイさんは変態だ」と聞いたことがあるんですけど。

滝本 いや、変態っていうかね……変態じゃないですよ。ただね、スエイさんが凄いのはね、「面倒臭い女の人」っていうか「大変な女の人」を相手に選ぶところですよ。

「大変な人」?

滝本 うん。物足りないんだろうね、普通のおとなしい女の人じゃ。でも、その面倒臭い女の人に振り回されるんじゃなくて、制圧していくっていうかさ、支配していくの(笑)。しかも、愛人なのにさ、ちゃんとみんなに紹介するんだよ。普通コソコソするじゃない、愛人だと。でも、ちゃんと恋愛関係を築いていくわけ。そこがカッコいいなぁ、と思ったんだよね。しかも、前の奥さんといきなり離婚して美子さんと結婚しちゃったでしょ。凄いです。あと、末井幸作さんを養子に入れたりとか。いきなり、30才くらいのときに20何才の息子が出来ちゃうっていうのがカッコいい。

スエイ 幸作は前の奥さんの弟だけど犯罪者だったからね。田舎に幸作のお兄さんがいて、「田舎では犯罪者がいる家には嫁がこない」っていうことで、名前を変えるために養子にしたわけ。結局、嫁さんは来なかったけど。それと、その頃の幸作は刑務所に入ってたから、身内でないと面会できなかったし。

滝本 だからね、僕は枕元にスエイさんの写真を貼って寝ています。「尊敬する人は誰ですか?」って聞かれたら、「白夜書房のスエイさん」って答えてますから。

滝本さんはスエイさんの女装が好きなんですよね。

滝本 スエイさんの女装はさ、けっしてお笑いでもなく変態でもない。前にスエイさんに「女装のどこが気持ちいいの?」って聞いたら、「街でジロジロ見られたりすると気持ちいい」って言うわけ。ちょっと変態も入ってるのかな、と思うけど、これはやっぱり芸術ですよ。立派な芸術。僕はスエイさんからもらった女装の年賀状を何枚も大事に取ってありますけどね。スエイさんは今でも青春ですよ。僕も少し青春だけどね。

 

仕事をさせてもらってさ
「ここが俺の居場所だ」と思ったもん

滝本さんは何か常識にとらわれることが好きじゃないんですね。

スエイ 滝本君、劇団にいたからね(笑)。劇団っていうのはフリーだからさ。

滝本 僕がいた頃の東京キッドブラザースはまだアングラ劇団でしたしね(笑)。

「世の中の人が会社に就職するのがおかしい」と、滝本さんから聞いたことがあって。

滝本 そうね。就職はヤメたほうがいいですね。就職しても気持ちいい人もいるかもわかんないけど、俺はちょっと……。今から俺が就職するのは無理だけどさ。

でも、滝本さんと話をしていると、白夜書房に対してだけは思い入れが強そうな印象を受けるんですけど。

滝本 そうですね。当時、白夜書房はセルフ出版っていう名前だったんだけど、仕事をさせてもらってさ「ここが俺の居場所だ」と思ったもん。学校というか、コミューンというか。劇団と構造が似てるな、と思って。スエイさんが座長みたいな。

当時滝本さんが撮られた写真を見ると、みんな楽しそう。

滝本 あの頃はみんな友達みたいな感じでさ、凄い楽しかった。一度ね、創立10周年記念だかなんだか知らないけど、高田馬場の「平安閣」ってところで白夜書房の大きなパーティーがあってさ。銀行の人とか印刷所の人とかのさ、ネクタイ絞めたちゃんとした人がいっぱいいて、もちろん、荒木経惟さんがいて、木村恒久さんがいてね。その中で森下社長が挨拶した後でさ、編集局長のスエイさんがフリージャズのサックスを吹いたんですよね。編集局長が、会社の大宴会会場で挨拶しないでサックスを吹く……あれは感動しましたけどね。

スエイ あの頃は無闇に吹いてたんですよ(笑)。

滝本 オマンコの毛が写っちゃマズいから、毛を剃っちゃうとか。まぁ何しろカッコ良いんですよ、スエイさんと白夜書房は。うん。

 

そのホモがさ、俺のオチンチンをさ、
ギュッと握るんだよ

スエイさんの「素敵なダイナマイトスキャンダル」の中の日記に、滝本さんが出てくるんですけど、やたらとホモを気にしてるんですよね。最近はホモは気になってないですか?


「素敵なダイナマイトスキャンダル」末井昭 p180より

滝本 ホモね。最近は気になってないけど、俺苦手なの、ホモが。前に千駄ヶ谷のアパートに住んでたときにホモから夜ばいされたことがあって……。隣に住んでた奴だったんだけど、ある日の晩窓から勝手に部屋に入ってきちゃって。そのホモがさ、俺のオチンチンをさ、握ってくるんだよ。「こういうのイヤでしょ? 嫌いでしょ?」とか言いながら。

一同 爆笑

滝本 それ以来ホモが恐くて恐くて。あ、ちなみにそれでも勃ちましたけどね。最近は全然ダメですけど。

 

だから、
天涯孤独の身なんですよ

スエイさんに聞いてみたいことはありますか?

滝本 「スエイ式人生相談」に「友達が5〜6人くらいしかいない」と書いてましたけど……。山ちゃんは友達ですか? 

スエイ 友達(笑)。

滝本 あぁ、友達。島本さんも友達?

スエイ そうだね。あと、南さん。

滝本 櫻木さんも友達?

スエイ うん。滝本君は友達いないの?

滝本 友達いない、俺。だから、それが羨ましい。僕の友達は高杉弾君と、大人計画っていう劇団の若い連中……阿部君とか、宮藤官九郎とかね。(また唐突に)滝本城、崩壊。

滝本城、崩壊?

滝本 兄貴が1997年に死んで、親父も2001年に死んで、オフクロが2003年に死んで僕だけになっちゃったんです。僕が住んでる渋谷の素敵な団地もね、兄貴のダンボールとオフクロのダンボールがダーっと来ちゃって。前は勉強机のところに椅子を置いて、書きものとか色々してたんだけど、椅子はこっちのほうに置いちゃって、ダンボールがこっちに来ちゃって、もう勉強机が機能しない。だから、天涯孤独の身なんですよ。

インターネットをやるっていうのはどうですか? 結構面白いですよ。

滝本 いや、どうもあの画面と文字が苦手でさ……ダメなの、俺。アレダメ、俺。でもね、なんだっけ? ヤフーだか、フーだかナンだか知らないけどさ、それで俺の名前を検索すると、100件くらい出てくるらしいんだよ。自分でそれを見たことないから、見てみたいと思ってる。だから、仕事もないし友達もいないしさ、それくらいですよ、今やりたいことと言えば(笑)。

冬になると体調が悪くなるそうですが。

滝本 もう始まってるね。Tシャツ2枚重ね。靴下2枚重ね。毛糸の帽子2枚重ね。寒くなってきたから。12月・1月・2月はこれで乗り切ろうと思ってますよ。


追記:取材時に滝本さんが「スエイさんへのお土産」として
持ってきてくれた、過去の写真が面白かったので、
ここで紹介します(下のスエイさんの顔をクリック)


滝本淳助 WEB写真展

「スエイさん」
(C) Junsuke Takimoto


スエイ一家インタビュー バックナンバー
第5回 田中健二郎さん
第4回 ポーカー岩間さん
第3回 渡辺和博さん
第2回 須田栄司さん
第1回 バッカスのママ

 

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