第5回・田中健二郎さん


ここでは月に一度、スエイさんの知人友人の方に、スエイさんとの付き合い、関係、思い出などを語っていただきます。バックナンバーは一番下から飛べるようになってます。御覧ください。


第5回 田中健二郎さん

「絶対毎日スエイ日記」で度々登場する田中健二郎さん。自らを「さすらいのギャンブラー」と名乗り、その55年にも及ぶ、ギャンブル生活の中では常に命を賭けた勝負をしてきたという。現在は浅草で路上生活をおくっている健二郎さんにスエイさんとの出会い、ギャンブル哲学までを聞いてきました。


局長が東京(競馬場)に来たのが
4レース目のときだった(笑)

 

最初に健二郎さんとスエイさんが知り合ったのは何がきっかけだったんですか?

健二郎 最初はね、『プロ麻雀』という雑誌で僕が連載してたのね、16年間。それを局長(スエイ)が読んだらしくて。そこからなんだけどね。局長と知り合ってから、白夜書房の麻雀と競馬の雑誌で書くようになったんだけど。

それから一緒に打つようなこともあったんでしょうか?

健二郎 知り合って間もない頃に一緒に競馬場に行ったことがあるんだけど、ほら局長は大らかでしょ? だからね、待ち合わせしたのが東京(競馬場)なのに、局長は中山(競馬場)に行っちゃったの。しかも、中山のパドックに入ってから気付いたらしくて。普通は電車に乗っている間に気付くと思うんだけど(笑)。それで、局長が東京(競馬場)に着いたのが4レース目のときだった(笑)。まぁ、局長はそういう大らかな人ですよ。

 

局長もO型でしょ?
だから、人が良くて個性的なんだよ

健二郎 (唐突に)ところであなた何型?

血液型ですか? A型ですけど。

健二郎 良かった。いい人だねあなた。僕ね、AB型が嫌いなの。AB型はもう全然ダメなわけ。100パーセントダメ。AB型は恐ろしいですよ。裏表とか二面性なんていうのは誰にでもあるわけね。だけど、AB型っていうのはそのAの二面性と、Bの二面性を合わせ持ってるから、要するに四面性になってるわけ。だから、恐ろしいの。僕もAB型の人には散々な目に合ってるの。あることないこと色々吹聴されたりね。

何故、「A型はいい人」なんですか?

健二郎 常識人。だから、いい人。

ちなみに健二郎さんの血液型は?

健二郎 A型。性格的にはAOだけどね。あと、O型は大らか。局長もO型でしょ? だから、人が良くて個性的なんだよ。スエイさんの悪口を言う人なんていないでしょ。

で、B型は?

健二郎 わかんない。わかんない人が多いね。

B型はわかんない(笑)。でも、それだけ健二郎さんが血液型にこだわるのは、やっぱり馬読みの影響でしょうか?

健二郎 そういうわけではない。もちろん、当然馬にも血液型があるし、魚にも、チンパンジーにもあるわけだけど、これはさすがにわからない。ただ、人間の血液型は僕にはわかるんです。

で、その健二郎式観点で見るAB型っていうのが……。

健二郎 ダメな人間。

 

配当なんていうのは俗物でさ、
どうでもいいことだから

スエイさんいわく、「健二郎さんはギャンブルの先生だ」とのことなんですけど。

健二郎 そう(照笑)? ちなみに僕のギャンブル歴は55年。16歳からですよ。日本橋で育ってね。世界初のプロ麻雀師が僕だから。昔は、日本プロ麻雀連盟の第1回プロ麻雀師試験の審査委員長をやったり、内弟子も何人かいて。「鬼才」……『プロマージャン』誌では、こう呼ばれていたわけね。


健二郎さんからいただいたサイン

 

実際、健二郎さんはギャンブル系の著書も数多く出していらっしゃいますが、「世界初のプロ麻雀師」ということは、もう若いうちから「ギャンブル一筋でいく」ということを決めたんでしょうか。

健二郎 うん。ただ、僕がギャンブルをやるのはお金のためじゃないの。だって、「お金を増やそう」と思ったらギャンブルは絶対勝てないからね。これは局長にも理解してもらえないことだけど、例えば馬っていうのは神聖なもので、配当なんていうのは俗物でさ、どうでもいいことなわけ。

でも、普通は配当のことが一番気になりますよね。

健二郎 うん。でも、それは素人で、趣味でギャンブルをやってる人。競馬っていうのはレースが終わった後に配当が決まるでしょう? そうなると、みんな配当が少なくてガッカリしてるんだけど、僕の場合は配当は全然関係ないわけね。その神聖な馬を見た、自分の結果がどうだったのか。そのほうが大事なの。

普通は「お金を増やしたい」と思ってギャンブルを打ちますけど、そうじゃない。

健二郎 お金を増やしたいんだったら、仕事で一獲千金を狙ったほうがいい。だって、仕事は一獲千金を狙っても、財産とか命とかをなくすようなことはないでしょう。でも、勝負事……ギャンブルは誰がどうやろうと、1兆円張っても勝てないからね。できるとしたら、ネタを張った僕だけ。ネタというのは命のことだけど、これを賭けてやらないとギャンブルは勝てません。だから、本当にギャンブルで勝とうと思ったら、100倍全神経を集中させないといけないわけで、それをやるための生き方を僕は選んだの。

 

いきなり勝とうと思うと、
それは無理だと思う

--------ここでスエイさんが登場--------

スエイ いやぁ、どうも。田中さん、なんか小奇麗でサッパリしてますね。

健二郎 このジャケット100円で買ったの。拾った100円で。

最近は御会いしてなかったんですか?

スエイ 半年ぶりくらい? 5月に雑誌『競馬王』で「100万円作らないといけない」という用事があってね。プレゼント賞金なんだけど、最初10万円しかなかったの。それじゃ読者が喜ばないから、これを10倍にしなくちゃいけないということで「僕が100万円にしてくる」と大見得切っちゃってね(苦笑)。で、田中さんに一緒に来てもらって競馬をやりに行ったんですよ。でも、ダメだったのね。やっぱりいきなり10倍は無理だね(苦笑)。2倍くらいならイケるかもしれないけど、10倍って設定したら無理。ある期間を持たないと。

健二郎 そう。いきなり勝とうと思うと、それは無理だと思う。

 

そういう20人とかのオッパイを
瞬時に見て数えるの

ギャンブル以外で健二郎さんがハマっていることはありますか?

スエイ 「オッパイ大小」でしょ?

健二郎 いやぁ……(照)。

なんなんですか、その「オッパイ大小」というのは?

スエイ 田中さんが街を歩いている女の人を見て、即座にオッパイが大きいか小さいかを判断するらしいんだよね。それを記憶してね、「現在まで大162、小138」とか数えてるらしいの(笑)。でも、そうやってるとさ、オッパイ「中」をどっちに入れるかが難しいですよね。

健二郎 最近は「中」も作ったんだけどね。でもね、半端な数じゃないですよ。大を1700人まで数えたからね。ということは見るオッパイは少なく見ても2000人以上なんだよね。

一同 爆笑

健二郎 それくらい暇っていうのは恐ろしいことだよ。どんなにツラいことかっていう。

スエイ 僕はその話を田中さんから聞いたときにね、「記憶力の訓練」だと思ったの。即座に判断していかないとギャンブルにならないからね。実際、田中さんは凄く記憶力いいもんね。

健二郎 だから、若い頃は「星を数える男」って言われてたの。普通、星なんて数えられないじゃない? でも、僕には出来たの。

スエイ でも、「オッパイ大小」もフワッとした服とかじゃわかんないでしょう。

健二郎 いや、わかる。今はもうブラジャーの種類もわかってるからね。今はね、ブラジャーの中に何かを入れて大きく見せるどころの騒ぎじゃない。オッパイを仮設したブラジャーがあるからね。あれもね、僕には絶対わかる。不自然だもんね。

一同 爆笑

健二郎 今の寄せてあげて谷間を作るなんて、全然魅力的じゃないよ。浅草はね、団体が多いけど、そういう20人とかのオッパイを瞬時に見て数えるの。あとは自転車乗ってる人とかね。動いてるし、すぐいなくなっちゃうから、パッと大か小かを見抜くわけ。

スエイ やっぱり大が多いと田中さんとしては喜びがあるの?

健二郎 うん。

 

その道を選んで野垂れ死んでしまうなら、
それはそれでしょうがない

今、健二郎さんは路上生活をしていると聞いてますが。

健二郎 そう。フータロー(笑)。でも、ヤクザよりはマシだと思ってるわけ。僕は嫌いな人が5種類いてね。ヤクザ、タクシーの運転手、警官、パンパン、生意気な女……。日本人はみんなヤクザが好きなわけね。でも、バカのクセして肩で風を切って歩いてさ、犯罪しないと喰っていけないのに、なんであんなに威張れるのかが僕はわからない。タクシーの運転手とか警官、パンパンとか生意気な女も似たようなもん。嫌い。

ギャンブルをやる人は、特にそういう好き嫌いがハッキリしてる人が多いような気がしますけど。

健二郎 うん。さっきも言ったけど、僕は若いときから「これで負けたら、野垂れ死にするかもしれない」と思うくらいの、命を賭けた勝負をしてきたからね。そういう中途半端な奴から威張られると腹が立つのね。

でも、しつこいようですけど、その「命を賭ける」ギャンブルは、お金を多く得ようと思ってやってるわけじゃないんですよね。

健二郎 うん。ビートたけしがね、「女を口説いても、ベッドに入るとやらないことがある」って言ってたけど、その気持ちが僕にもよくわかるの。要するに、そこまでプロセスとか経緯が面白いだけなの。さっきも言ったように、馬なら自分が見た結果がどうだったのか、麻雀なら対戦相手に勝ったり負けたりするからいいんだよ。何事においてもそんなところがあると思うし、その道を選んで野垂れ死んでしまうなら、それはそれでしょうがない。だから、自分では路上生活でもいいわけね。ただ、局長がいつだかいいことが言ってくれたことがあって。「田中さんの人生は、まだ今は途中結果だ」って。プロはね、トータルで勝つっていうことだから途中だったら負けてても別にいいわけ。だから、僕のギャンブルは人生勝負だから、まだ結果がわからないのかもしれない。自分の人生が勝ったのか負けたのか……それは棺桶に入ったときに結果が出るのかもしれないね。


追記:取材時、田中健二郎さんがくれた封筒の中には
ギャンブルに対する思想と熟練の必勝術が綴られた
「ケンジロウ勝負学」の原稿が入っていた
(下の封筒をクリック)


ケンジロウ勝負学

勝負とは全財産か命を賭けること。その他は趣味である。
人生において負けられない勝負というのが
一度か二度必ずあるもの。


スエイ一家インタビュー バックナンバー
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第3回 渡辺和博さん
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第1回 バッカスのママ

 

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