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雑誌は表紙(スエイ)
雑誌の表紙は大事ですよね。まず、一番最初に人目につくとこだから。雑誌のすべては表紙で決まりますよね。
表紙で、読者の好き嫌いが出るとマズいんですよ。書店で目立つことはいいことだけど、万人に好かれるような表紙じゃないといけない。よくさ、誰かが描いたイラストを表紙にする場合もあるんだけど、イラストだとさ、「このイラストが好き」「イヤだ」っていう人が出やすいと思うんだよね。だから、できるだけそういうことがないほうがいい。全ての人が受け入れられる表紙が一番良いんじゃないかな。
男性誌の表紙なんかだと、女性の顔が多いんだけど、人の顔っていうのは情報量多いからね。顔を見るとさ、色んなものを感じるじゃない? 「この人は綺麗だ」とか、「ブスだ」とか、「優しそうだ」とか、「ちょっとこの人、性格が悪そうだ」とかね。
でも、それがたとえば手の写真だったら、情報が少ないわけ。せいぜい「手が綺麗だな」くらいで、「優しそうだ」「性格が悪そうだ」っていう情報はないでしょう。そういう意味で一番情報量が多いのが顔だから、雑誌の表紙には割と顔を使う場合が多いんです。
僕が『写真時代』っていう雑誌を始めたとき……まぁ、これはエロ本なんだけど、エロ本じゃないフリをしようと思って、表紙にアイドルの顔写真を使うようにしてたんだよね。当時のエロ本の表紙といえば、いかにもって感じのセクシー女性のセミヌード写真だったから、それがアイドルなら本屋さんもエロ本とは思わないと思って。
エロ本ということになってしまうと、本屋さんの隅のエロ本コーナーに置かれてしまうわけ。『写真時代』が欲しいと思っても、エロ本コーナーに置かれていたら、気の弱い人はそこまで行けないでしょう。
ところが芸能人とか有名人が表紙に出てるとさ、本屋さんは「これは人目に付くところに置いてもいいんだな」ということで、通常のエロ本コーナーよりは、前のほうの棚に置いてもらえるじゃないですか。本屋さんはいちいち中味なんか見てないんだから。
だから、最初はタレント事務所に企画書だけを見せて、表紙撮影の交渉をしてね。企画書にはエロ本だとはいっさい書いてないから、すぐOKしてくれるんだよね。で、『写真時代』の創刊号は、そのころ人気のあった三原順子の写真になったんです。
撮影は田宮史郎さんに頼んだんだけど、田宮さんはヤル気になってタングステンライトなんか使ったもんだから、なんだかものすごい情感たっぷりの写真になってしまったんです。 いまにも自殺しそうな表情の三原順子。つまり、「作品」にしちゃったんですね。これは表紙写真としては邪道なわけ。表紙写真の撮り方は、正面から大光量のストロボをパカッとたいて撮るんです。そうすると影が出ないから。表紙写真に影や情感は禁物なんです。万人に笑顔を振りまく影のない写真でないといけないわけ。
『写真時代』はそれでも内容が良かったから、創刊号は完売だったんだけど、あとから「なんていう雑誌だ。こんなひどい雑誌に載せるな」って三原順子のファンクラブから怒られちゃったりして。その時点で次の表紙写真を撮っていたから、2号目までは有名アイドルを使えたけど、3号目からは『写真時代』と言うと断られましたね。だんだんB級アイドルとかC級アイドルとかになっちゃってね(笑)。
『パ チンコ必勝ガイド』の場合は、パチンコ台が表紙なんだけど、あれも顔なんですよ。パチンコを打つ人はまず、あの盤面を見るわけでしょう。パチンコにとっては盤面が顔だから、そういうことで盤面を大きく使い、内容豊富な景気良い感じを文字をいっぱい入れることで出したりして。
色の感じも大切で、 表紙に黄色とか紫の色が多いと、雑誌は売れないんですよ。何故なら、黄色とか紫色って、みんなが好きな色じゃないからね。紫色なんていうのは、オカマとか特殊な人しか好きじゃないでしょう(笑)。黄色はカラスも嫌うらしいし。この前テレビでやってたんだけど、カラスがゴミ袋を食い破って困るということで、ゴミ袋を黄色と黒のストライブにしたら、カラスが来なくなったって。なんかスズメ蜂を連想するらしいんだね。寒色も「寒い感じ」を与えるからあまり使わない。必然的に赤とかピンクが多くなっちゃう。
文字は雑誌によるよね。パチンコ雑誌みたいにゴチャゴチャしたほうがいい場合もあれば、スッキリしたほうがいい場合もある。センスを売りモノにしてる雑誌はあんまりゴチャゴチャしてるとマズいんじゃないの? 『SWITCH』とか『エスクワイヤ』とかね(笑)。
最近の表紙でびっくりしたのは やっぱり『クウネル』だね。マガジンハウスのスローライフ系の雑誌。あれは過激ですよ。表紙は、ただその辺にあるような椅子とテーブルが写ってるだけでさ、普通そんなもん表紙にしないですよ(笑)。「椅子とテーブルがある」だけじゃ普通、誰も見ないでしょう。だから、僕は逆にそれが凄いと思ったけど。
まぁ、雑誌の表紙を考える上で一番手っ取り早いのは、本屋さんに行って雑誌をよく見ることだろうね。「ここに自分が作る雑誌を置いたらどうなるか」っていうことをよく考えたほうがいい。雑誌の表紙は相対だから、本屋さんで色んな雑誌が並んでる中で目立って、なおかつみんなから嫌われないものはナンなのか、というようなことを考えたほうがいいでしょうね。
余談だけど、表紙って作った編集者の性格が出るみたいなところもあるよね。だいたいわかる。保守的な人が作ると当たり前の表紙になるんじゃないかな。「こういうことを表紙でやると、ちょっと、売れないんじゃないか」とか。「あまりにも他の雑誌と違うから、いけないんじゃないか」とかね。そういう縛りみたいなものを自分の中に入れてしまうとさ、まあ、似たり寄ったりの雑誌になっちゃうと思う。
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